聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 お茶の時間は思いのほか楽しかった。

 お菓子も紅茶も美味しくて、ついつい進んでしまった。

「美味しそうに食べるね」

 とアルウィードは嬉しそうにそれを見ていた。

 なんか子供を見る保護者みたい、と思ったが変なことをされるよりはマシ、と耐えた。

 エミュリーは最初、三千花の動きに何かを言いたそうにしていたが、結局は何も言わなかった。
 お茶するにもルールがあったのかな、と思わないでもないが、藪蛇になるから自分からは何も言わなかった。

 エミュリーはアルウィードとのお茶の時間を楽しんだようで、彼が帰ったあとに
「夢みたいな時間でした」
 とポツリと言った。
 その日、彼女から嫌味がこぼれることはなかった。

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