聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
夜。
三千花もその隣室のエミュリーも眠りについた頃。
王城の敷地内にある神殿に、数人の神官が集まっていた。
彼らは床に描かれた魔法陣に向かい、何事かをブツブツとつぶやいている。
やがて魔法陣が光った。青白い光が神官を照らし、立ち会っている二人の人物の姿も照らした。二人は深くフードを被り、顔を隠していた。
魔法陣の光が収まると、二人の女性が魔法陣の中に現れた。二人は抱き合うようにして怯え、周りを見回す。
「ようこそ聖母様」
魔法陣に向かい、神官が言った。
二人の女性はただ恐怖に震えていた。
* 第一章 終 *