龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
ヴァイスさんがここまで明かしてくれたのは嬉しかった。あたしを信用し心を許してくれている、ということだから。
でも、だからこそ一方的に知るのはフェアじゃない。
あたしもちゃんと彼に伝えたいし、あたし自身の事を知って欲しい。そう思う。
「ありがとうございます……そこまで話してくださって。あたしもヴァイスさんのことを知ることができて嬉しかった。だから、あたしの話も聴いてもらえますか?」
「ええ、もちろん。私はアリシアのことならばなんでも知りたい……あなたが構わないのならば、聴かせてください」
コクリ、と頷いたあたしは少しだけ俯く。
これから話すことは、“人”には一度も話したことがない。だから、勇気を振り絞ってヴァイスさんに話し始めた。
「……あたしもおばあさまも、辺境の地で暮らしてますよね?他に人間の家族はいません。あたしが物心ついた頃からは、おばあさまと2人で暮らすことが当たり前でした」
「でも、君たちはとても仲がいい。それに、おばあさまも君も、私とシルヴィアをなんの見返りもなく助けてくださった素敵な女性です」
ヴァイスさんに改めて認めてもらえると、なんだか照れくさい。
「ありがとうございます……あたしはずっとおばあさまに育てていただきました。時には厳しい時もありましたけど、総じて役に立つ事ばかり教えていただきました」