龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「バーミリオン、次は右側に回り込んで。それから、垂直ターン」
《ハイよ!》
あたしの指示通りにバーミリオンは飛んでくれる。
ゆっくり半円を描いて螺旋状に飛んだあと、まっすぐ垂直に身体を向けて急上昇。その後、ジグザグ飛行も披露した。
(やっぱり…バーミリオンは飛ぶスピードも速く、挙動も機敏になってるよね)
バーミリオンのここのところの変化は、身体の大きさだけじゃない。運動能力も明らかに良くなっている。
身体が大きくなって筋肉量も増えているからかな?
魔力の量は……以前とそんなに変わらない、か。
おばあさまと同じ原因なら、おばあさまに訊こうかとも思ったけれどね。
《はぁ……なんか身体が重いな》
「急に体重が増えてるからね」
《マジか!?ダイエットしなきゃならねえな》
「ドラゴンならダイエットは必要ないでしょ……」
疲れたというバーミリオンにマルメというウリ科の果物をあげたら、ため息をつかれてしまいましたけれど。
《あー…ウゴルが食いてえよ》
「マルメで我慢しなさいよ。あのときは竜騎士団が大変な事態だったんだからね」
《わかっているけどよぉ…》
ブーブー文句たれながらも、バーミリオンはマルメを両手で持ち丸かじりする。
1個が大きなスイカくらいの大きさがあるから、食べではありそうだ。