龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
ファイアドレイクはファイアドラゴンの上位種で、どんな武器も通さない硬い鱗を持ち、超高温のファイアブレスは何でも燃やすと言われおそれられている。
《マジかよ!オレ様、ファイアドレイクになれんの!?》
バーミリオンが翼を羽ばたかせてあたしとバルド卿の目の前に着地する。その目は期待満々に輝いてた。
バルド卿が確認したいのか、バーミリオンに訊ねる。
「ちょっと身体に触ってもいいかね?」
《おっさんに触られるのは趣味じゃないが、仕方ねえ。ちゃちゃっと終わらせろよ》
本当に触られるのは嫌らしく、バーミリオンは目を三角形にして口をすぼめる。バルド卿はバーミリオンの鱗や皮膜に脚まで触れていた。
《だーッ、早く終われ!撫でるな。キメぇ!!》
「うむ…」
人間だったら青筋が立ちそうな表情になったバーミリオンは、今にもブチ切れそうだ。実際口からファイアブレスがちろちろと漏れてる。
なにを考えたのか、バルド卿はそれにすら手を近づけて「熱!」と言ってる。変態…?
「うむ、かなり高温だな」
《……アンタ、マジ変態か?》
バーミリオンですらドン引きしてたけど、ゴホンと咳ばらいをしたバルド卿は「私は変態ではない」と呟いた。
「強靱な鱗と鋭利な爪が生えた皮膜……熱が宿る身体……黒い4本角。他のドラゴンより高温のファイアブレス。ふむ、間違いなくファイアドレイクの特徴が出つつあるね」
「え!」
《マジか!?やったぜベイビー!!》
バルド卿の診断結果に、あたしは驚きが。バーミリオン本人は喜びがもたらされた。
でも、バルド卿は真面目な顔で警告してくる。
「今回はかなり特殊なケースだな。ウゴルの大量摂取自体聴いたことがない。ゆえに、なにが起こるかわからない。くれぐれも気をつけなさい」