龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「だから、先に“嫌ならば申し出てほしい”と言ってある」
クロップス卿がそう告げれば、皆押し黙ってしまった。
「皆、相当な覚悟で竜騎士となるため日々過酷な訓練をこなしているのは知っている。幸い、今期は優秀な生徒ばかりと聴いた。だからこそ、私はこのような強行策を行おうと考えたのだ。能力がなければそもそも提案などしない。君たちの可能性を信じたからこそ、なのだ」
クロップス卿のこの話は上手い、と思った。
さり気なく皆を褒めて持ち上げ、やる気を出させる。
みんな、若い。若いからこそ他人からの評価には敏感だ。
ましてや、憧れの竜騎士団団長からそう言われてしまえば……。
「そう……そうだったんですか。フッ……ボクの素晴らしい才能が竜騎士団には必要……ということですね。わかりました…団長がそこまで言うなら…」
サラリ、と金髪をかき上げたハワード。謎の自信満々さは相変わらずだけど、今はそれでいいかもしれない。
「さぁ、みんな!竜騎士団と団長にボクたちの力が必要とされているんだ!やってやろうじゃないか」
「うおおお!」
「そうだ!やろうぜ!!」
ハワードの言葉に呼応して、候補生達から威勢のいい声が上がった。
単純明快なハワードは最近大人しかったけど、一応居残り練習にも参加するようになったし。ちょっとだけ見直してきたところだ。
そして、ノリがいいところはこういう場合盛り上げてくれて助かる。
「よ、よし…ぼくも頑張るぞ!」
ザラードまで拳を握りしめて武者震いしてた。