龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「ふーん、いいんじゃないか?」
その日ちょうど出来上がったドレスがお城に届けられたから、皆に言われて試着してみた。
おばあさまも悪くない、って顔をしてるし。これで正解だったな。
「当日はデビュタント専用のティアラが用意されるから、髪飾りはしてくなよ。あと、髪は結い上げな」
「え、そうなんですの!?」
「あら、マリナさんはご存知なかったんですの?」
さすがにもと王女だっただけあり、おばあさまはオーパン・パルについて知識が豊富だった。マリナさんもカリンさんもふんふんとよく聴いている。
「やはり、ネックレスは大ぶりがいいですわね」
リリアナさんがノリノリであたしのコーディネートをしてくれるけど、おばあさまはいい顔をしない。
「んー…アリシアにはシンプルな方が似合うだろ。プラチナとダイヤのネックレス…そうだな、それがいい」
侯爵令嬢すら顎で使うおばあさまって……。まぁ、わかってはいましたがね。
あたしが指定されたネックレスを身につけると、キルシェちゃんとリリアナさんがため息を漏らす。
「アリシアおねーちゃん、キレイ!」
「まぁ、素敵ですわね」
「ん、やっぱこれだな…あと、アリシア。アンタ背も髪も伸びたな」
「え、そう?」
おばあさまに言われて初めて気づいたけど、確かに後ろの髪は襟より下に伸びてた。背丈はわからないけど。
「当日はアタシがありったけの技術で盛ってやるから、安心して任せな!」
どん!とおばあさまは自分の胸を叩くけど…なにか不安になるのは気のせいでしょうか?