龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
ヴァイスさんは手にした槍で、次々と密猟者をなぎ倒す。シルヴィアと息がぴったりで、まさに一心同体と言えた。
そして、彼はそのままユニコーンを救いだすことに成功。密猟者の手が届かない高さまでシルヴィアとともに浮上して、あたしのところまでわざわざ来てくれた。
「気を失っていますが、角も体も無事ですよ」
「……よかった……ヴァイスさん……ありがとう……」
そのユニコーンは、子どもの頃から一緒に遊んだ事がある子で。バーミリオンに羽ばたいて近づいてもらうと、抱きついてしまうくらい無事が嬉しかった。
そして、バーミリオンが言った通り。紫の鱗を持つエニシェントドラゴンのセシリアとともに、アリスおばあさまが仁王立ちで現場に現れた。裸は…ちゃんと最低限覆っていてよかった。
「……あんたたち、このアリス様の守護地で密猟しようってえ、いい根性じゃねえか。あん?なら、何されたって文句言える立場じゃねえよなあ…?」
にこやかに微笑んでいるからこそ、逆にこわい。
「さ〜ア、アタシの呪いを受けな。“ずっと腹が痛くてトイレにこもる”刑、“くしゃみとしゃっくりが止まらない”刑、“足の裏と鼻と背中がずっとかゆい”刑。どれがいいか選ばせてやるよ」
やがて、男どもの断末魔のような悲鳴が響き渡った。