龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
家に戻ったあたしは、すぐにおばあさまに謝った。
(ちなみに、密猟者たちは纏めて檻に入れてある。おばあさまが世にも恐ろしいお仕置きをしたらしく、お願いします捕まえてくださいと泣いて頼んできたらしい)
「……ごめんなさい、おばあさま。あたしが昨夜無茶をしたから魔力が揺らいで、密猟者が入ってきたんだよね」
あたしが謝罪しても、スパスパ葉巻きを吸うおばあさまは、ハッ!と鼻で笑った。
「アンタがはしゃいだくらいで、アタシの結界がおかしくなるはずないだろ?うぬぼれんじゃないよ」
「でも、やっぱりタイミング良すぎない?」
「ふん、アタシも年だからね…まぁ、まだあと三十年は現役でいるつもりだけどな」
「おばあさま、100歳になっちゃうよ!」
「そんなに年じゃないわ!!」
おばあさまはふん、と葉巻きを一度大きく吸い込み、また大きく煙を吐き出した。
「……で?ヴァイスとやら、あの戦いっぷりに武器…アンタ、ただの竜騎士じゃないね…龍騎士だろ?」
おばあさまがそう指摘すると、ヴァイスさんは微笑んだまま認めた。
「……そうですね。身の丈に合ってはいませんが、龍騎士の地位は賜っています」
龍騎士…! それは、竜騎士の中では最高の栄誉ある地位であり、称号。必ず誰かが賜るものではなく、空位の時も珍しくない。
実力実績に加え、人格や信頼性……様々な条件を全て満たさねば得られない。竜騎士を目指すならば憧れる雲の上の存在だ。
ヴァイスさんが龍騎士だったなんて! 胸がドキドキして興奮が抑えられなかった。