龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
臥龍の儀
 
「……ん」

ふと、ベッドの中で目が覚めた。
今は4時ごろだろうか。
夜明け前に起きる習慣は、おばあさまに徹底的に叩き込まれた。ドラゴンや幻獣は夜明けから活動を始める子たちが多いから。

「……起きなきゃ」
 
目をこすりながら上半身を起こすと、横から伸びてきた腕があたしの身体に巻き付いた。

「……アリシア、まだ早くありませんか?4時前ですよ」

ヴァイスさんがそう言ってあたしを抱き寄せる。彼の胸のなかに収まると素肌同士が触れ合ってしまうから、昨夜のことが思い出されて…頭まで沸騰しそうな羞恥心が湧いてくる。

「で、でも……ドラゴンたちのお世話しなきゃ……それに、臥龍の儀当日だから自主練もしたいし…」

あたしがそう言うと、ヴァイスさんはクスリと笑う。

「アリシアはいつでも向上心があって素晴らしいですね。ですが、あまり無茶をしないでください。臥龍の儀では体力と気力が大切です。今から消耗しては元も子もありませんよ」

もっともらしいことを言うヴァイスさんだけど……。
さっきからあたしの身体に悪戯してくるのは、誰でしょうね?

「ちょ、ヴァイスさん……」
「どうしました、アリシア?」
「……もう!」

ちゃっかりあたしの耳に口づけてきたヴァイスさんは、そのままあたしを後ろから抱きしめて囁いた。

「アリシア、もう一度だけあなたを…」
「ヴァイスさん、遅れちゃう…っ」

あたしの抗議の声は、重なったヴァイスさんの唇に消えていき…

結局、そのまま彼に食べられてしまいました…。

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