龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
バイキングが乗るドラゴン船は木製の帆船だ。
つまり、マストを無くせば風に乗れない。
一応漕手はあるけど、マストで風を受けての移動が主だろう。
さらに、船底に武器の保管庫と船を安定させるための石を積む底荷があったはず。
これらは全部おばあさまからの知識だ。
「……船に乗る人たちがバイキングなのか捕虜なのかわからない…なら、まず足止めしましょう」
あたしはシルヴィアの目をジッと見てから、ヴァイスさんへ提案した。
「ヴァイスさん。シルヴィアは以前川面を凍らせていましたけど、どのくらいの規模ならば凍らせることができますか?」
「シルヴィアならば…そうですね。本気になれば瞬時に国の半分は氷結できるかと」
話を聴いてびっくりしたけど、これならあたしが考える作戦が実行できる。
今までシルヴィアが実力を発揮出来なかったのは、おそらく人質や捕虜の安全を考えてだろう。
ドラゴン船に乗せられた人たちはバイキングと同じ北方系だから、似たような格好をさせられたら見分けがつかない。
だから、ヘタにシルヴィアの氷結の力を使えば彼らを傷つけたり、最悪見せしめに害される恐れがあったんだろう。
でも、今はあたしとバーミリオンがいる。
氷と炎。一見矛盾するけど、最強の力が揃った。