龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「アンタ、あんまりコイツを褒めるな。調子こいてドジやらかすからさ」
おばあさまが水をさしてくれたおかげで、少し恥ずかしさが薄れてうんうん、とおばあさまに同意した。
「そうですよ!あれくらい、誰だってできるはずです。あたしはなにも特別なことはしてません」
竜騎士に叙任されるからには、あたしより遥かに優れた騎乗技術があるはず。あたしの中ではワクワクが止まらない。
「……まぁ、いいでしょう。いずれ現実はわかりますから」
苦笑いしたシルヴィアさんの表情に、なぜか胸がドキンと鳴る。そして、思わずこんなことを言っていた。
「ヴァイスさん……今のような顔のほうがいいと思います。無理に笑う必要はありませんから」
「…え?」
ヴァイスさんが驚いたのか目を見開いたから、ハッと我に返ったあたしはアワアワとまた余計な言い訳を繰り出す。
「あ、あの!だってまだ、ウズの毒で身体がつらいでしょう?つらい時はつらい、苦しい時は苦しい、とあたしの前だけでも…ううん、他のひとの前でも素直に出した方がいいと思うんです。あたしだけでなく、ヴァイスさんを助けたい人はたくさんいると思うので…って、余計なお世話ですよね。すみません!」
(あ〜ほんと余計なこと言っちゃったよ〜!)
ぺこりと頭を下げていると、ぽん、と頭に重さを感じる。こわごわ目だけ上を見ると、ヴァイスさんが微笑んでいた。
……なにか、嬉しそうに見える。