龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「ありがとう、アリシア。きみの前ではそうしましょうか」
「あ、はい!じゃんじゃん甘えてください!それくらいで潰れるヤワなあたしじゃありませんから!」
ガバっと身体を起こして、腰に手を当てると(薄いけど)胸を反らした。
「ふ、頼もしいですね」
フフ、とヴァイスさんが吹き出してくれた。
あたしは作った笑みより、断然こっちの方がいい。
「……ですが、アリシア。あなたを竜騎士候補に推薦するには、ひとつ問題があるのです」
「え?」
「人格と技術に問題はありません…あと一つ。確かな身元の推薦状が必要なのです」
「……推薦状?おばあさまではだめなの?」
当然の疑問だけど、おばあさまはふうっと葉巻きの煙を吐き出してとんでもないことを言った。
「あ〜アタシに期待すんな。実家が嫌で籍を抜けたからな〜身元不明のアタシじゃ無理だねえ」
「え、ええっ!?じゃあ、あたしも国籍上は身元不明なの!?」
「ま、そういうことになるかねえ」
おばあさまはあっさり言っちゃったけど……それ、事実ならとんでもないことなんですが!?
「それならぱ大丈夫です。私の出す条件を飲んでいただければ、新しく登録し直しますから。私の推薦状も可能になります」
ヴァイスさんがとてもいい条件を出してきたから、一も二もなく飛びついた。
「それは、なんですか?あたしにできることなら……」