龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

「おい、ザラード!おまえ、なに田舎娘にヘラヘラしてんだよ!」

見た目は金髪碧眼の王子様、その実性格はよろしくないハワードがザラードに絡んできた。

やつはあたしやザラードより頭一つ身長が高い。代々竜騎士を輩出しているオズボーン伯爵家の長男で、父親は竜騎士団の副団長を務めてる。
訓練服であるシャツとズボンの上には革で作られた鎧の一種であるレザーアーマーを装着しているけど、その上からでも身体にはあんまり筋肉が無いのがわかる。典型的な貴族のお坊ちゃまという感じだ。

現に、彼の周りには取り巻きの男爵家や子爵家の令息がいらっしゃる。ひとりは筋肉ムキムキ、もうひとりはふくよか。

「なにが田舎娘だよ!アリシアに失礼だろ」
「へえ?おまえ、こんな男か女かわからないやつの味方すんの?おまえ、実は女か?」
「ぼくは男だ!失礼なことを言うな」

当然ザラードが怒るけど、それこそハワードの思うつぼ。ハワードはザラードの肩に腕を回し、にやにや笑いながらこう言った。

「本当ならさ、男を見せろよ」
「は?」
「男なら、女にすることはひとつだろ?」
「……バカバカしい!なんでそんなことしなきゃいけないんだ!第一、アリシアはヴァイス殿下の恋人だろう」

ザラードは怒り顔でハワードの腕を打ち払った。
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