龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

そうして、リリアナさんが御用達にしているデザイナーのお店に来ています。

全然縁がない世界だったから、お屋敷にも似た立派な店構えも。吹き抜けと噴水がある広いお店も、何もかもが新鮮な驚きの連続。

デザイナーさん自らがリリアナさんをお出迎えし、こうして一人ファッションショーが繰り広げられる羽目に。

デザインの参考として、すでに縫い上がった試着用のドレスがあるのもびっくりだ。

ちなみに、ヴァイスさんはリリアナさんに“いくら恋人でも淑女の着換えは見てはいけません”と部屋から追い出された。

……いろんな意味で、リリアナさん強い。

「あ……」

うんざりするほど着換えたあとにひとつのドレスを着た瞬間、自分の身体にぴったりとフィットする感覚があった。

オフホワイトのシンプルなドレス。
ノースリーブで肩を少しだけ出すオフショルダータイプのデザイン。
スカートもあまり広がらず、動きやすそうだ。

「あら、それがお気に召しまして?」

歩いたりくるくる回ったりしていたらさすがにリリアナさんも気づいたようで、上から下までじっくり眺めて納得したようだった。

「……そうですわね。ブルームさんの慎ましやかな胸もとを隠すにはいいデザインでしょう」

言下に貧乳と言われましたが……事実なので反論のしようもございません。

「少しサイズ調整が必要ですから、また後日お越しください」
「その時にアクセサリーも見繕いましょう」

デザイナーさんにそうおっしゃるリリアナさん。本人より張り切っているのは、なぜなのでしょうかね?

そして、彼女はあたしにとあるものを作る提案をしてくる。

「ヴァイス殿下が大切ならばぜひお作りになられるべきですわ」
「うん……そうだね」

あたしはリリアナさんのアイデアを承諾し、一緒に作ってもらうことにした。
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