龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「他の誰もが誤解をしたところで、私には痛くも痒くもありません。ですが、アリシア。あなたにだけは誤解してほしくはないのです」
ヴァイスさんのこの上ない真摯で真面目な眼差し……。
古代竜に認められねばなれない、高潔なる龍騎士。その人がそれほどまでに言っているんだ。
それに……何より。
あたしは、ヴァイスさんを信じたい……というより、信じるし、信じられる。
彼の今までを鑑みれば、十二分に信じられた。
他の人の言葉に惑わされるのはやめよう。
あたしは、あたしの直感を信じる。
「……わかりました。ヴァイスさん、あたしは、あなたを信じます」
そう言って彼の手に自分の手を重ねる。
「誰がなにを言っても、あたしはあなたとあたし自身を信じます」
あたしが確信を持って言い切ると、ヴァイスさんはあたしの手を包んで「ありがとう」と呟いた。
「やっぱり……君が、いい。私には必要なひとです」
「口説くなら、竜騎士の称号をくださいよ」
「さすがにそれは、私の一存では無理ですね」
お城に着く前の車内では、和やかな雰囲気で話すことができて。今夜はぐっすり眠れそうな予感がした。