龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
同じ種のドラゴンでも齢が違えば、大きさも性格も違う。中には上位種へ進化する子もいるし、幻獣として年を重ねて聖獣に近い子もいる。
総じて齢を重ね、身体が大きく立派に成長したドラゴンほど知能が高く、魔力も高い。そしてプライドも高くなる。
(イッツアーリ、今日は話してくれるかなあ……)
リリアナさんのお父様であるクロップス侯爵は竜騎士団の団長。高位貴族にありがちな高慢な性格ではなく、清廉潔白。公平なお方だ。
それに相応しく、騎竜はドラゴンの王とも称されるバハムートのイッツアーリ。齢500年の立派な飛龍だ。
彼は殊にプライドが高く、あたしが話しかけても一度も反応があったことがない。まぁ、どんな職員が話しかけても同じなんだけど…。
基本的に騎竜たちは自分たちの食事は自分で調達する。広大な敷地に接する豊かな大自然があるからこそ可能。
ただ、朝だけは別。
いつでも出撃できるように、決まった時間に人間側が用意したものを食べる。
千頭の騎竜のお世話はとにかく大変。種が違えば食べるものや好物、その日の体調に合わせた食事を用意しなければならない。
100人がかりでなんとかこなす。
あたしも草食のドラゴン用の飼い葉を二輪車に積んでいる時、中に入っている果実を偶然見つけた。
「……これは!」