龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

(あれ? またウゴルがある)

翌朝、ドラゴン達のごはんにまたウゴルが混じっているのを見つけた。
さすがに連日与えるのは問題がある。

「あの、すみません」

知り合いの調教師さんを呼び止め、ウゴルを見せて昨日からの経緯を話した。
ウゴルが昨日もごはんに混ざっていたこと、念のため自分が担当した分からは除いておいたこと。
ヴァイスさんにも報告済みなこと。

「え、ウゴルが……?そりゃあおかしい。わしが聴いた飼料の配合ではなかったはずだよ」
「やっぱり……じゃあ、誰かが入れたってことですよね?」

調教師さんは難しい顔をして、顎に手を当てる。

「それしかないな……じゃが、外部の人間とは考えにくい。そもそも、厩舎の敷地は無関係の人間は許可無く入り込めないからな」

調教師さんの言うとおりに、ドラゴン達が棲む敷地や厩舎は周囲10kmに至るまで、防護の結界が張られている。防衛の要である大切なドラゴンたちを護るため、決められた人間しか接触できないようになっているんだ。
そのうえ、古の森にいる古代竜の力で害意ある存在は最初から排除される……はずなんだけど。

「まぁ、1日だけならどってことないとは思うがな。念のため他の担当者達にも念入りに確認するよう伝えておくよ。報告ありがとうな」
「いえ、少しでもお役に立つならよかったです」

調教師さんにそう約束してもらい、ほっと胸を撫で下ろした。

(よかった……これでウゴルの被害は出ないよね…たぶん)
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