龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


「また、ウゴルがドラゴンに…?」

いつもの朝食の席でも、ヴァイスさんにウゴル混入の経緯を説明しておいた。

「……おかしいですね。騎士団長には報告してありますし、飼料庫を点検してもウゴルの存在は確認できなかったそうですが」
「でも、外部の人間は入れませんし。やっぱり職員さんが与えている……ということになりますよね?」

あまり考えたくはないことだけど、2日続けて混入されているとしたら、偶然とは考えにくい。明らかに意図的な行為だ。

ただ、悪意を持ってかと言われると、正直わからない。ウゴルはドラゴンの好物であり、滋養強壮によい栄養豊富な食べ物だ。ドラゴンが病気になった際、食欲が無くなった時に与えるといいほど。
だから、たまに与えるならなんの問題もない。

「誰かが好意であげているんでしょうかね?でも、それにしては量が多いですし……うーん…わからないですね」

あたしの考えを聴いたヴァイスさんは、「そうですね」と頷いて賛同してくれた。

「今のところ悪意を感じるものではありません。騎士団長にはまた報告しておきます。おそらく現場もアリシアの報告で警戒するでしょうし。ただ、念のため解毒剤の用意と警戒だけは怠らないようにしましょうか」
「はい」

これで、ウゴルの混入が止めばいいけど。
なんとなく不安が拭えないまま、古城を出た。


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