龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
《んぐんぐ…うめぇ!》
バーミリオンは木の上に留まり、両手でウゴルを掴んで頬張る。
「やあ、アリシア。飛竜での騎射……いいものを見せてもらったよ」
主任教官であるバルド卿から褒められて、照れくさいやらむず痒いやら。
「皆、いいか?アリシアの騎射から学べることはたくさんあるはずだ。素晴らしいと思ったら、どんどん貪欲に取り入れ吸収するといい」
「はい!」
今日もヤークに乗っての騎射訓練。
大半の人は昨日居残りで特訓しただけあり、初めて体験した時よりはマシになってきてる。
「よし…今!」
「えいっ!……わっ!」
ザラードもなんとか弓を構えられるところまではできるけど、やっぱり1日やそこらだと無理みたいだ。バランスを崩しかけて、ヤークの首にしがみついてる。
「やっぱり難しいや……ぼくには合わないかな」
「まだまだ諦めるのは早いよ!ほら、ザラード。泣き言言わずに次!」
「ひえ〜アリシアが鬼だあ」
ひいひい言いながらも、ザラードもなかなか頑張ってる。そして、リリアナさんは10年以上乗馬を嗜んでいるだけあり、ヤークの騎乗はもちろん騎射への適応が早かった。
「はっ!」
リリアナさんが放った矢は的に届かなかったものの、あと10センチ横に当たれば…とかなり惜しいところまで来てる。
「リリアナさん、惜しかったね!つがえ方を改善すればもっと飛ぶと思うよ…こう、弦を引く時は親指と人差し指じゃなくて…真ん中の指3本を使うの」
「そうですわね。今度はこれでやってみますわ」