キミとの距離が、縮まらない。
その日、家に帰ってお風呂を済ませて部屋に入ると、スマホの通知ランプが光っていた。
――なんだろ?
見てみると、ラインの通知だった。
『長谷川涼真』
その名前を見て、一瞬、目を疑った。
――え!?なんで連絡先…あ、クラスのグループラインから連絡先分かったのかな?
『お疲れ!今何してるの?』
えっ、えっ!?なんて返せば…!?
あわあわしたけど、なんとか冷静になって『お風呂終わって、のんびりしてました』と送った。
しばらくしてまたメッセージが届く。
『そっか!俺も一緒』
『今日話した、俺のオススメの歌のリスト送るって話。さっそく何曲か送るから聴いてみてね』
そして、曲名と一緒にリンクが送られてきた。
――あ、この曲…
『2つ目の曲、私も好き』
『マジ!?また共通点あったね!』
『だね!』
『俺、「キミとの距離が、縮まらない。」ってフレーズが好きで。最後の方の「キミとの距離を、越えていく。」って繋がるのがいいなって。』
『私も!』
――このフレーズ聴くと、最近、長谷川くんを思い出すんだよね。
私とはタイプが真逆で、いつも手の届かない、遠い存在の長谷川くん。
長谷川くんとの距離が縮まることなんてないんだよなって、切なくなりながら、いつも思うんだ。
いつか、私もこの距離を越えていけたらいいのにな、って。