キミとの距離が、縮まらない。
「黒田さーんっ」
校門を出てすぐ脇の道を歩いていると、後ろから声が聞こえたので振り返る。
見ると、長谷川くんが立ち漕ぎしながら全速力でこっちに向かってくるところだった。
立ち止まっていると、長谷川くんが私の真横で自転車を止めた。
「よかったー!追いついた!」
「なんで…?」
私がキョトンとしていると、長谷川くんはにっこりして言った。
「買い物頼まれたって聞いたからさ。しかも急ぎなんだろ?松本さんがそう言ってたって、山本さんが教えてくれた。だから、手伝おうって思って追いかけてきたってワケ。」
「え!?いいよいいよ、私一人で行くし。」
「いいから!ホームセンターまで遠いし、乗りなよ。」
そう言って長谷川くんは、自転車の後ろを指差した。
うぅ、でもちょっと抵抗が…
「私、重いから…」
そう言うと、長谷川くんは、あははっと笑う。
「俺、柔道やってる友達とかも乗せてるし、全然ヨユー。ほら、早く乗って!」
「う、うん…」
渋々、長谷川くんの後ろにある荷台に、横向きに乗った。
手も荷台にかける。