キミとの距離が、縮まらない。
「そんなんじゃ、転げ落ちるよ?」
笑いながらそう言うと、長谷川くんは私の両手を取って、グイッと引っ張り、自分の腰に回した。
勢いで倒れた私の体が、長谷川くんの背中にピッタリとくっつく。
――はわわわわ…!!
「よし、これでオッケー!」
――全然オッケーじゃないっ!!わ、私の心臓が飛び出してきそう!!
初めてのシチュエーションに私の頭と体はパニック状態。
心臓がバクバク言ってる…!
「ちゃんと捕まっててよー?落ちないでね!」
そう言うと、長谷川くんは自転車を漕ぎ出した。
スイスイ漕いでいく長谷川くんの背中が逞しく感じる。
風を受けて走ってるはずなのに、私の顔はさっきからずっと火照っていて、冷める気配がない。
――すごいな、長谷川くん。他の人を手伝うために、すぐに行動できるんだもん。
松本さんに声をかけられて、すぐに行動に移せなかった自分が少し恥ずかしい。
ホームセンターに着いて、赤色のペンキを2缶買い、急いで学校へ戻った。
帰り道も長谷川くんの腰に手を回して――。