キミとの距離が、縮まらない。

学校に着くと、長谷川くんは「自転車置いてくるから先に行ってて」と言ってくれた。


急いで教室に向かう。


教室のドアを開け、男子と楽しそうに話してる松本さんの方へ近づいた。


「松本さん。買ってきたよ。」


そう言ってペンキの入った袋を差し出した。


すると、松本さんはまたあの薄ら笑いを浮かべて言った。


「あ、ごっめーん。まだ残ってたみたい。だからそれ、返品してきてくれない?」


「……え?」


側にいた男子が「ひっでー」と言いながらクスクス笑っている。


視界がぐらつく。


足が震えた。


「…ペンキ足りないっていうの、嘘だったの?」


「嘘なんてついてないよー?ホントにないと思ったんだもーん。」


――そんなこといって…。本当はワザとじゃないの…?


言われていることが信じられず、呆然とした。


顔を上げると、松本さんは私を見て、馬鹿にしたようにフッと笑って言った。


「黒田さん、ごめーんね?」


謝る気なんてない顔。周りでクスクス笑う男子達。
この状況が信じられない。


――ヒドい。なんでこんな態度とられないといけないの?


泣きそうになった、その時。

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