キミとの距離が、縮まらない。
第5話 キミとの距離を越えるため
文化祭当日。
企画委員は、朝から運営の準備がある。
――長谷川くんと会うの、気まずいな…。
そう思いながら校門をくぐった。
すると…
「黒田さん!おはよ!」
声をかけられて目線を向けると、長谷川くんがいつものように爽やかな笑顔で段ボール箱を運んでいた。
「おはよ…」
――あれ?なんかいつも通り…?
「荷物置いて、ちょっと手伝ってくれない?パンフ並べるから。」
「う、うん!」
私は慌てて荷物を置いて、受付にいる長谷川くんに追いつく。
一緒に段ボールからパンフレットを出して、受付の長机の上に置いていく。
構内地図を貼り出したり、立て看板を立てたりと、私達は普段通りの会話をしながら、準備を進めていった。
「長谷川ー!ちょっとこっち来て手伝って。」
「おー」
そう言って長谷川くんは他のクラスの男子に声をかけられてその場を離れていった。