キミとの距離が、縮まらない。
途端に、安堵の溜息をつく。
昨日のことを思い出すと、緊張してしまって、平静を装うのが大変だった。
――もしかして昨日のこと、なかったことになってる?
気の迷いだったのであれば、それも仕方ないと思う反面、それはそれで悲しいと思う自分もいた。
両想いであれば、これ以上に幸せなことはない。
――嫌われていなければそれでいいって思ったくせに、両想いであって欲しいって思う私って、自分勝手だな…。
準備が一段落してからしばらくすると、文化祭の開始時間となった。
校門をくぐって、たくさんの人達が一気に入ってくる。
「こちら、パンフレットどうぞー」
どんどん流れてくるお客さんに次々とパンフレットを渡す。
すると――
「わり!遅くなった!」
他のクラスの手伝いを終えて戻ってきた長谷川くんが、私の肩にポンッと手を置いて、声をかけてくれた。
サッとパンフレットをとり「どうぞー!」と言いながら手早く配っていく。