キミとの距離が、縮まらない。
――違うの。そんな顔をさせるつもりなんてなかった。
――長谷川くんは自分を変える努力をしようとしてくれているのに、私は自分を変えずに受け入れてもらおうなんて、都合よすぎ。
変えよう、自分を。
長谷川くんに似合う女の子になるために。
私は長谷川くんを見上げて、真っ直ぐ見つめながら気持ちを言葉にした。
「尊敬の気持ちは変わらないよ。長谷川くんのこと…好きっていう気持ちも。」
「…えっ!?」
「だから私も、頑張っていい?冴えない自分を変えて、長谷川くんに似合う女の子になりたい。いつまで時間がかかるか、分かんないけど。」
長谷川くんは、突然出てきた私の言葉に、驚いているようだったけど、みるみるうちに耳まで真っ赤になった。
そんな長谷川くんを見つめる私の顔も、火照ってきた。
きっと私も、耳まで真っ赤になってる。
私達はそのまましばらく見つめ合っていた。
「黒田さん、それって…俺たち両――」
「はせがわー!」
大きな声で名前を呼ばれたのが聞こえて、長谷川くんはカクッと項垂れた。
声のする方を見ると、町田君が走ってこっちに向かっているところだった。