キミとの距離が、縮まらない。
「長谷川、11時からお化け役で交代って言っただろ?なんで来ねーんだよ。浜浦が困ってるぞ。」
「あ、やっべ!」
時計を見ると、11時を少し回ったところだった。
「そう言えば、11時からの受付担当の人、まだ来てないね。」
「ホントだ!なんでだろーな。」
「長谷川くん交代しておいでよ。私、クラスの受付お昼からで、ここの受付終わったら自由時間だし。」
「そっか。じゃあお願いしようかな。…あ。」
「?」
一瞬止まった長谷川くんを見て、私は首を傾げる。
「せっかくだから、後でクラスのお化け屋敷、来てよ!黒田さんが来るなら、ちょっと手加減するし。」
「そう?じゃあ行こっかな!」
私がそう言って笑うと、長谷川くんが少し顔を赤くして「…さっきの話、続きは後で。」と言って、町田くんと一緒に教室へ向かっていった。
――さっきの続きって…。
両想い。
たぶん、そう言おうとしてくれてた。
――長谷川くんと、両想い…。
また顔が熱くなるのを感じた。
――りょ、両想いになった後って、どうなるの?経験がない私でも、なんとなく知ってるけど…付き合う、とか?あとは…キス、したり…?
ファーストキス。
その相手が長谷川くんになるかもしれない。
――長谷川くんと、キス…。
顔が一気に熱くなった。
心拍数も、勝手に上がっていく。