今日も君とアイスクリーム
今日も君とアイスクリーム
「はぁ、もう無理!」
高校1年の夏休みのある日の朝。
まだ8時を過ぎたばかりだが、あまりの暑さに扇風機だけでは耐えられず、私は部屋の冷房をオンにする。
しばらくして、ようやく部屋が冷えてきたと思っていたら。
「萌、航くんが来てくれたわよ」
「よっ!」
私のお母さんに連れられ、幼なじみの航がニコニコ顔で部屋へとやって来た。
「何か用?航」
私は航を軽く睨む。
「なぁ、萌。俺と一緒にアイス食べに行こう」
「ええ、また!?この暑いのに、なんで外に出なきゃならないの」
「いいから、行くぞ」
幼なじみの航は夏休みになってからというもの、二日に一度のペースで私の家へとやって来る。
そしてなぜかいつも決まって「アイス食べに行こう」と言い、私を外へと連れ出すのだ。
*
家から外に出ると、モワッとした熱気に包まれる。
まだ午前中だというのに、太陽がギラギラと照りつけてかなり暑い。
「ねぇ、なんでいつも私を誘うの?航一人で行けばいいじゃない」
「ダーメ。萌は、俺と一緒に行くって決まってんの」
「何それ。意味分かんないんだけど」
口ではそう言いつつも、本当は嬉しい私。
アイスクリームは私の好物だし。
それにどんな理由であれ、幼い頃から密かに片想い中の航に、こうして会えることが嬉しいんだ。
航とはお互い別々の高校に通ってるから、尚更。こんなこと、航には絶対言えないけど。
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