君の瞳に映る花火



今日は市の数少ない大イベント,花火大会当日。

屋台は当然のように並び,人のざわめきも田舎とは思えないほど。

そんな中,私は両片想い歴の長い大好きな人と浴衣を着て待ち合わせていた。

屋台を回り,突然好きな人に手を取られ走り。

何故か今……一緒に手持ち花火をしています。



『日曜日,花火!』



置き逃げされた約束は,そんなもの。

花火は花火だけど,なんで今こっち?

私は線香花火を片手に頬杖をつき,花火の上がる遠くの空に目を細めた。



「ロマンがないなぁ」



こんな時間も悪くないけど。

ぽつりとうっかり呟いてしまう。

むわんとしたその場の空気感や,彼との関係がそうさせた。



「そう? 皆デカイの見に出て上見て同じの共有してんだぜ? そんな中俺達は2人だけでちっちゃいの。この敢えてな優越感は最っ高にロマンチックだろ?」



ワケわかんないけど,取り合えずまだこのこの関係に甘んじてもいいかなと思った。

告白と変わらない日々が,もう少し続く。

君の瞳の中,線香花火がとろんと落ちた,夏。
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