カマイユ~再会で彩る、初恋
後だしジャンケンで勝っても面白くない。
先に彼女に『好き』と言わせ、精神的に優位に立った上での告白なんて、男としてやっぱり情けない。
ぐずぐずしてる自分が悪いのに、七歳も年下の彼女に翻弄されてしまう。
それでも心が満たされたからなのか、悔しいとは思わない。
有難いし嬉しいし、言葉に言えない幸福感に満たされる。
「仕事中って、アクセサリーとかつけてられるのか?」
「え?……ん~、結婚指輪はOKになっていて、ピアスなら揺れないものとか、ネックレスならスカーフで殆ど見えないようにしてたら注意されることはないかなぁ」
「じゃあ、規則でダメってわけじゃないんだな?」
「……だと思いますけど、どうしてですか?」
「いや、何かプレゼントしようかと思って」
「えっ、誰にですか?もしかして、私に?」
「他に誰がいんだよ」
「っ……」
「彼女としての自信が欲しいなら、目に見えるものが手っ取り早いかと思って」
「っっ~~っ」
抱きしめる腕の中で彼女が照れて身じろいでいる。
それが何とも言えないくらい嬉しい。
「欲しいものある?」
「……何も要らないですよ。会いたい時に会って、こうしてぎゅーして貰えたら」
「ぎゅーだけでいいんだ?」
「え?」
俺は抱きしめるだけじゃ全然足りない。
けれど、無理させるのも嫌がらせるのも怖がらせるのもしたくないから、少しずつでいい。
「あっ、そうだ!!」
「…ん?」
「ちょっと待ってて」
一旦寝室を出て、仕事用のスラックスのポケットに手を入れる。
そこからとあるものを取り出して……。
寝室に戻った俺は、上体を起こして座っている彼女の手を取り、その上にそっと置いた。