カマイユ~再会で彩る、初恋


「あぁ~もうっ、千奈?……千奈、起きれる?」

缶ビール半分しか飲んでないのに、完全に酔い潰れた千奈。
テラスのソファに寝落ちてしまった。

「茜、いいよ。……俺が連れてく」
「えっ?……隆、結構飲んでんじゃないの?佑人に頼めば」
「酔ってねーよ。っつーか、酔えねーし」
「へ?」
「千奈運んだら、俺そのまま寝るから。佑人、あと頼むな」
「あーうん、分かった。……茜、千奈は隆に任せとけばいいよ」
「でも……」
「最後くらいいいだろ」
「……あ」

千奈は来年結婚する。
こんな風に四人で来るのも、今年が最後かもしれない。

隆は軽々と千奈を抱き上げ、二階へと向かって行った。

二十二時になろうとしていて、心地いい夜風が肌を撫でる。
私はテーブルの上を片付け、佑人はグリルまわり片付けた。

「茜、少しいいか?」
「ん?……うん」

佑人がミネラルウォーターのペットボトルを差し出して来た。
それを受け取り、テラスのロングソファに腰掛け、星空を見上げる。

毎年のようにこの場所に四人で来てたけれど、この星空も見納めかも。

「千奈には結婚して幸せになって貰いたいけど、俺は隆の気持ちも知ってるから」
「……へ?」
「あいつら、高校の時、結構いい雰囲気じゃなかった?」
「あっ、うん。千奈は隆のこと、すっごく好きだったよ」
「だよな。……隆も千奈がすっげぇ好きだったのに、何で上手くいかなかったんだろう、あいつら」
「……えっ、隆も千奈が好きだったの?」
「うん。……ってか、今もすっげぇ好きだよ、千奈のこと」
「えぇぇぇっ!?」

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