カマイユ~再会で彩る、初恋
四大辺形
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「悪い、待たせたよな」
「いえ、私もさっき来たところです」
修学旅行の旅程打ち合わせを学年主任と旅行代理店の担当者と行い、職場を出たのが十九時過ぎ。
その足で彼女との待ち合わせ場所に向かい、十九時半過ぎに彼女と合流。
祖母から相続した別荘が長野にあり、彼女の残りの夏休みをそこで過ごすことにした。
「先生、運転大丈夫ですか?」
「平気だよ」
「でも……」
「お前こそ、疲れてるんじゃないのか?はしゃぎ過ぎて…」
高速で向かえば三時間ちょっと。
今夜はそのまま休んで、目一杯連休を謳歌する予定。
「寝ててもいいからな」
「……すみません、免許がなくて」
「東京に住んでたら、必要ないだろ」
シュンと肩を落とし、申し訳なさそうな顔をする。
俺としては、隣りに座ってくれているだけで幸せなんだよ。
誰かを助手席に座らせたいだなんて、思ったこともない。
この密閉された空間の中で、共通の話題を語り合える人がいること自体が奇跡に近い。
「海はどうだったんだ?」
「………楽しかったですよ」
前を向いていた彼女の視線が、ゆっくりと左に逸らされ、完全に表情が見えなくなった。
モヤっとする。
たった二日間で何かあったのだろうか?
気心しれた仲間四人での旅行。
しょっちゅう頻繁に会っていると聞いているし、十年以上前からずっと変わらぬ関係性だと聞いているけれど。
「実は隆、……萩原くんが千奈のことをずっと好きだったらしくて」
「え?……北川、来年結婚するって言ってたよな」
「はい。実は千奈も萩原くんのことが好きだったんですよ。高校を卒業してもずっと。二年前に今の恋人と知り合ったんですけど、それまでは隆一筋だったんです」
「悪い、待たせたよな」
「いえ、私もさっき来たところです」
修学旅行の旅程打ち合わせを学年主任と旅行代理店の担当者と行い、職場を出たのが十九時過ぎ。
その足で彼女との待ち合わせ場所に向かい、十九時半過ぎに彼女と合流。
祖母から相続した別荘が長野にあり、彼女の残りの夏休みをそこで過ごすことにした。
「先生、運転大丈夫ですか?」
「平気だよ」
「でも……」
「お前こそ、疲れてるんじゃないのか?はしゃぎ過ぎて…」
高速で向かえば三時間ちょっと。
今夜はそのまま休んで、目一杯連休を謳歌する予定。
「寝ててもいいからな」
「……すみません、免許がなくて」
「東京に住んでたら、必要ないだろ」
シュンと肩を落とし、申し訳なさそうな顔をする。
俺としては、隣りに座ってくれているだけで幸せなんだよ。
誰かを助手席に座らせたいだなんて、思ったこともない。
この密閉された空間の中で、共通の話題を語り合える人がいること自体が奇跡に近い。
「海はどうだったんだ?」
「………楽しかったですよ」
前を向いていた彼女の視線が、ゆっくりと左に逸らされ、完全に表情が見えなくなった。
モヤっとする。
たった二日間で何かあったのだろうか?
気心しれた仲間四人での旅行。
しょっちゅう頻繁に会っていると聞いているし、十年以上前からずっと変わらぬ関係性だと聞いているけれど。
「実は隆、……萩原くんが千奈のことをずっと好きだったらしくて」
「え?……北川、来年結婚するって言ってたよな」
「はい。実は千奈も萩原くんのことが好きだったんですよ。高校を卒業してもずっと。二年前に今の恋人と知り合ったんですけど、それまでは隆一筋だったんです」