カマイユ~再会で彩る、初恋
カフェを出た私たちは、観光案内所脇の店で自転車をレンタルし、森の中をサイクリングすることに。
「せんせ~いっ、あの白い建物は何ですかぁ~?」
「ん?……あぁ、あれか。行ってみるか?」
「はいっ!」
木々の隙間から時折見える白い洋館風の建物。
どなたかの別荘なのかもしれないけれど、少し大きいように感じて、何かの施設なのかな?と思った。
くねくねとしたサイクリングロードを走り、ようやく辿り着いた先に見えたのは……。
「わぁ~っ!!素敵~~!!」
遠くからでは全体像が見えなかったけれど、近くに来てはっきりと分かった。
「教会だったんですね」
「ん」
L字型の教会で、チラッと見えていた部分は塔になってない部分だった。
森の中にひっそりと佇むように建てられ、大自然の中で永遠の愛を誓う場所。
都会に住んでいて華やかな結婚式ばかり見て来たから、こんな風に大自然の中で厳かに執り行うのも素敵に思える。
「中に入ってみるか?」
「えっ、いいんですか?勝手に入っちゃって」
「教会なんだから、誰でも自由に入れるだろ」
「……そうなんですか?」
キリスト教徒じゃないから、教会に行ったことがない。
教会式で何度か入ったことがあっても、それとこれとはたぶん違うはず。
幼少期に海外で生活してたけれど、教会というものに縁がなかった。
思わぬ成り行きで神聖な教会の中へと足を踏み入れる。
重厚な扉の中は、窓から入り込む陽の光がとても輝いて見えるほど、別世界に感じた。
「おっ、いい絵を飾ってる」
壁に飾られている絵画の前で、先生が足を止めた。