カマイユ~再会で彩る、初恋
千奈には何でも話して来た。
中学部から一緒だからかれこれ十五年。
人生の半分以上を共に過ごして来た。
「茜の初恋は矢吹先生なんだね」
「へ?」
「今言った『好き』の感情が『恋』だよ。だから、初めてだと思えるならそれが『初恋』」
「……そうなんだ」
千奈が言うには、気になる程度は恋じゃないという。
俗にいう『好き』=『憧れ』らしく、『病的に思える初めての恋』=『初恋』らしい。
周りが見えなくなる、途端に気弱になる。
恋って本当に『不治の病』なんだと改めて思い知らされた。
……二十八歳になって。
「茜が想うくらい、先生も茜のこと想ってくれてるといいなぁ」
「……うん」
「私より、茜の方が早くに結婚したりして」
「えっ、無いよ!」
「分かんないよ~?」
朔也さんは今一番大変な時期らしく、休日でも自宅で仕事をしているという。
昨年管理職の試験に合格し、今新人を二人抱えているらしく、外コンの仕事柄出張尽くめだという。
デザートのゼリーを頬張りながら、千奈のウェディングドレスの試着写真を見せて貰った。
「あっ、そう言えばね!長野に行った時にレンタルサイクルして、サイクリングしてて気になった建物があったからふらっと立ち寄ったのが教会だったの」
「へぇ~いいなぁ」
「結構古そうな感じだったんだけど、森の中にひっそりとある感じで。それが凄く素敵だった」
その時の写メを見せると、『軽井沢にある教会みたい』だなんて言う。
私は見たことないけれど、千奈は朔也さんとデートで行った時に幾つか見て廻ったらしい。
「先生にプロポーズされなかった?」
「……」
「えっ、されたの?!」
「されたというか、……教会か神社か考えてみて?的なことは言われたよ」
「プロポーズじゃん!!!」