カマイユ~再会で彩る、初恋
やっぱりそうなのかな?
あの時は突然だったし、あの場の雰囲気に流されて、それらしい台詞だったのかな?とか思ったけれど。
第三者が聞いても、そう思えるなら……そうなのかも。
「合鍵といい、先生意外とちゃんとしてるね」
「……そうなの?」
「そうだよ!だってまだ三か月だよ?そりゃあ、丸一年毎日のように顔見て過ごした仲とは言え、担任と生徒だったんだから、あの一年はほぼノーカンだもん。それ考えると、この三か月の急成長ぶりは凄いと思う」
千奈は私と恋バナできることが楽しいと言う。
今までずっと私は聞き役で、いつも千奈の相談を受けるばかりだったから。
「私なんて、朔くんから合鍵貰ったの……半年は優に経ってたよ?」
「そうだったっけ?」
千奈の恋バナは逐一報告を受けていたけれど、聞き流してたのかな?
自分の恋じゃないから、大まかな記憶でしかない。
自分の恋なんて、日付や時間まではっきりと覚えてられるのに。
千奈に隆の片想いのことは未だに話してない。
こんなにも幸せそうな千奈を見てたら、今さら言って二人の関係性に亀裂が入っても困るし。
何より、隆本人が『知らなかったことにして』とあの数日後にメールして来た。
佑人から聞いたらしくて。
そう考えると、本当に恋って難しいんだと思い知る。
今幸せすぎる毎日だけれど、この恋に終わりがあるのかもしれないと思うと怖くなる。
千奈のように、永遠の愛を誓い合うような関係性になれたらいいのだけれど。
先のことなんて、誰にも分からないから……。