カマイユ~再会で彩る、初恋
頭の中で何回もシュミレーションした。
遠回しに聞いてもはぐらかされたら元も子もない。
先生に言葉で勝てる気がしない私は、直球な質問には直球で受けて立つのが筋だと思ったのだ。
「変えた覚えはないけど」
「じゃあ、誰も乗せてないんですか?」
「あぁ」
「じゃあ、何で変更されてるんですか?」
「知らないよ」
鳩が豆鉄砲を食ったような表情をする。
本当に先生は知らないの?
「あっ……」
唖然としていた先生が、目を見開いた。
「先週、文化祭に使うものを買出しに出て、その時に荷物を助手席に積んだから。……けど、シートは動かしてないと思うけど……?」
納得がいかないといった表情だが、嘘を吐いているようには見えない。
「……ごめん、誤解させたな」
ポンポンと優しく頭が撫でられる。
「荷下ろしの際に俺宛ての電話が入って席を外したんだ。たぶん、その時に同僚の先生が動かしたのかも。後部座席にも荷物満載だったから」
「そうなんですね」
「浮気はしないよ。……約束する」
膝の上の手に先生の手が重なった。
「弁当が冷めるから部屋に行こう?」
「……はい」
完全にモヤモヤが晴れたわけじゃないけれど、先生の瞳は嘘を吐いているようには見えなかった。
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すっかり来慣れた先生の家。
調理器具の収納場所や掃除用具の場所まで把握している。
私用にあてがわれたウォークインクローゼットの一角は、自宅のクローゼットと大して変わらない。
浴室、洗面室、キッチン、リビング、寝室……こんなにも私の物が置かれていて、浮気を疑うのは間違ってるよね?