カマイユ~再会で彩る、初恋

「二人目は高校一年の時で、S工業の子です。同じ駅を使ってたんですけど、高校が反対方向だったのでいつもホームの反対側にいて」
「で、告白されたの?」
「……はい」
「二カ月くらいは友達期間みたいな感じで、夏休みくらいから付き合いだしてクリスマス前に別れました」
「どんな子だったの?」
「う~ん、『ザ・硬派』みたいな感じで、凄く真面目で優しくて義理人情に厚い感じの人だったかな」
「そんな優良物件みたいな奴と何で別れたの?」
「……嫉妬だと思います」
「嫉妬?」
「はい。千奈と佑人と中等部から一緒で、高等部に入ってからは隆も一緒だったのでいつも四人で過ごしてたんですよね」
「あぁ…」
「登下校も一緒だったし、メールとかも結構頻繁にしてたので」
「なるほどな」
「佑人に嫉妬して、『友達だよ』って説明したんですけど、最後は『佑人と友達やめて』みたいなことを言われて」
「若いな」

今思うと恋することに恋をしてただけで、彼じゃなくちゃダメだというほど好きだったわけじゃない。
だから、彼の言うことよりも佑人との関係を優先した。
恋は一時、友情は一生だとその時心底知れた気がしたんだ。

「三人目は?」
「……短大の時に、学部の友達に誘われて行った合コンで知り合った人です。K大の人で、凄く話し上手の人でした」
「大学生の彼ね~」

先生は酒の肴にでもしているのか。
楽しげに私の話を聞いている。

彼女の昔の彼氏の話を聞いて、楽しいのだろうか?
ちょっと複雑な気持ちになる。

「その彼とはどんな所に遊びに行ったの?」
「どんな所って、普通ですよ?映画館とか水族館とか、普通に買い物したり、テーマパークに行ったり」

< 148 / 177 >

この作品をシェア

pagetop