カマイユ~再会で彩る、初恋
私の中で黒歴史とも言えるあの数か月。
前の彼氏のこともあったから、毎日連絡を取らないとダメみたいな人はお断りだった。
そんな時に、社交的な彼と知り合った。
「同じ会社だから、不規則な勤務なのも分かってたし、機体の構造の話とか、凄く勉強になったし」
「ん」
「ある時、違和感に気付いたんですよね」
「違和感?」
「今日の私と一緒ですよ」
「へ?」
「シートの位置が、ある日を境に変えられていて。彼の車に乗る度にかなり後ろの位置になってたんですよね」
「……浮気か」
「いえ。浮気というより、私自体も遊びの一人だったんですよ」
「は?」
「要するに、特定の彼女は作らないって人で、超遊び人だったみたいです」
私の言葉に先生の目が大きく見開かれた。
さすがに私が遊ばれてたなんて聞きたくなかったかも。
「茜の歴代彼氏。まともな奴がいないな」
「……いたら別れてないですよ」
「フフッ、そうだな」
思い出しただけで胸がムカムカする。
あんな男、罰が当たればいいのに……。
「いよいよ、五人目の彼氏」
先生は興味津々とばかりに、にこっと微笑んだ。
「三年前くらいです。……千奈に勧められてマッチングアプリで知り合った人なんですけど」
「おぉっ、茜もそういうの使うんだ」
「いえ、普段は使いませんよ。あの時はさっき話した彼と別れた後で、恋愛がトラウマになりそうだった私を千奈が心配して、共通の趣味の人と仲良くなればいいって」
「趣味が合うのはいいよな」
「はい。海外旅行が趣味だった人で、私も海外に憧れてCAになったくらいなので、色んな国の話をするのが楽しくて」