カマイユ~再会で彩る、初恋
もう自分の気持ちに見てみぬふりをするのはやめると誓ったんだ。
何もしないで後悔するより、伝えたい想いは出し惜しみせずに伝えなきゃ。
ぎゅ~っと抱きついて思いの丈を伝える。
再会して三か月。
日に日に先生への想いが膨らんで、こんな風に吐き出さないと溢れて大変なことになるから。
「俺にして欲しいことあるか?」
「へ?」
「会社や財団の仕事を引き継ぐとなると、学校が休みの週末の度に各支店に赴いたり、財団関係のイベントで忙しくなると思うから」
そうか、そうだよね。
東京にいるとは限らないってことだもんね。
『暫く』だなんて、明確でない期間の我慢を強いる先生からしたら、少し後ろめたい気持ちになるのかもしれない。
こんな風にたまに会えるだけで、私は十分なんだけど。
「じゃあ、頭ポンポンして下さい」
「…え、そんなことでいいの?もっと我が儘言って甘えていいぞ?」
「……そんなこと突然言われても」
蕩けそうな思考で必死に考えを巡らせていると、優しく頭が撫でられる。
そして、髪にキスが落とされた。
「先生」
「ん?」
「さっきの絵、私に下さいっ」
「……ん、いいよ」
「やった♪」
「けど、自分の画なんて持ってても…」
「先生が描いてくれたものが欲しいんですよ」
「……幾らでも描いてやるよ」
先生は少し照れくさそうにポンポンと頭を撫でた。
これこれ、こういうポンポンが堪らなくキュンとしちゃうんだよね。
「茜はいつになったら『白杜』って呼んでくれんの?」
「へ?」
「もう、『先生』じゃないんだけど?」
「っっ~~~っ」
耳元に落とされた甘い囁きは破壊力が凄まじい。
おねだりなのか、軽い命令なのか。
判断がつかないくらい、脳みそが蕩けてしまいそう。