カマイユ~再会で彩る、初恋

普段から澄ました表情の茜は、どうも同僚からは近寄りがたい雰囲気があるらしい。

両親から受け継いだものはASJのパネルに起用されるほどの美貌で、フライト中にナンパされることはしょっちゅう。
社内だけでなく、羽田空港内のショップ店員にも結構人気だ。

「お先に失礼しまーす」
「お疲れさま~」
「お疲れ様でした」

身支度を整え終わった後輩たちが次々と更衣室を後にする。
佳歩ちゃんと二人だけになり、ホッと一息つく。

「先輩、何年ぶりなんでしたっけ……?」
「……十年ぶりかな」
「十年っ!もう太古の歴史的人物じゃないですか。本当によくそんなに…」
「別にどうこうなりたいってわけじゃないんだよ。ただ、甘酸っぱい想い出に触れることで、気持ちの整理もできるかな?とか思って」
「逆に、焼け木杭には火がついたらどうするんですか」
「……それはないよ」
「どうして?分かんないじゃないですか」
「だって……」

今日は高校を卒業して以来、初めて参加する同窓会がある。
これまでも何回かあったけれど、気持ちの整理がつかなくて、ずっと不参加にして来た。

本当は、あの人に会いたくなくて。
会えば、また苦しい想いを思い出しそうで。
どうしても、一歩踏み出せずにいた。

凄くすごく大好きだった男性(ひと)
私の大好きだった人、矢吹(やぶき) 白杜(あきと)先生に。

『十年』という歳月が私を少し成長させたのか。
大親友の千奈(ちな)北川(きたがわ) 千奈、二十八歳)に説得され、今回初めて参加することにした。

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