カマイユ~再会で彩る、初恋
「あ、そうだ」
「……ん?」
「これ、昨日ビンゴで当たったんだけど、一緒に行かない?今日が無理なら次の休みに」
「……映画?」
「ん」
佑人は映画の招待券をテーブルの上に置いた。
佑人と二人きりで出掛けるのはよくある。
買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったり。
さすがに海や旅行は無いけれど、友人として出掛けることは結構頻繁にある。
千奈は『デート』だなんて言うけれど、別に手を繋いだり腕を組んだりすることは今まで一度もない。
「えっと、……さっき帰って来たばかりなの」
「うん」
「だから、ちょっとだけ時間貰える?」
「ん、いいよ。適当にテレビ観て待ってる。じゃあこれ、冷蔵庫に入れとくな?」
「あっ、ありがと。じゃあ、ちょっと着替えて来る」
佑人をリビングに残し、着替えに寝室に向かう。
先生の家で軽くシャワーは浴びたけれど、メイク道具を殆ど持ち歩いて無かったから薄化粧状態。
コンビニに買い物に行くくらいならいいけれど、さすがに映画に行くのに薄化粧では心もとない。
シフォンのブラウスにキュロットスカートを合わせ、上に薄手のカーディガンを羽織る。
髪をアイロンで軽く巻いて、メイクも仕上げた。
「佑人~」
「ん?」
「これ、留めてくれる?」
「おいで」
去年千奈に誕プレで貰ったブレスレット。
ちょっと変わった留め金で、自分では留められない。
佑人にブレスレットを留めて貰おうと腕を差し出すと。
「細っ……。こんな細いのに、十キロ近い荷物を上の棚に入れるんだろ?」
「あ、……うん」
手首を掴まれ、佑人の指先が手首をなぞる。