カマイユ~再会で彩る、初恋
乗客の手荷物を上の棚(オーバーヘッド・ストゥエッジ・ビン)に収めるのもCAの仕事。
前の座席の下に入りきらない荷物は、上の棚に入れるのがルール。
「毎日プランクとか腕立て伏せもしてるし、佑人が思ってる以上に体力あるよ?」
「へぇ~」
「揺れる機内でサービスしないとならないし、国際線だと長時間ヒール履きっ放しだしね」
「そっか」
「いつまでも、佑人の中ではか弱いイメージなんだろうけど、もうアラサーだし、いい歳したオバサンになりつつあるから」
「それ言ったら、俺だってオジサンだろ」
「えぇ~、佑人はオジサンには見えないよ」
「どこら辺が?」
「うーん、顔はもちろんだけど、やっぱりこの辺が……?」
佑人の胸元と上腕をツンツンと指でつつく。
ジムに通っているだけあって結構いい体をしていて、ワイルド系の顔にマッチする感じで男っぷりがいい。
「それって、俺を『男』として見てくれてるってこと?」
「え?……ん~、そうだね。佑人は昔からカッコいいと思うよ」
こういう話題を二人きりの時にしたことは無いけれど、ちゃんと私の目には『男性』に映ってる。
ただ、好みのタイプでは無いけれど。
「へぇ~、そうなんだ」
ちょっと嬉しそうな表情をした佑人。
自惚れかもしれないけれど、やっぱり少なからず好意を抱かれてるのかな?とか思ってしまう。
私にとったら佑人は、いつでもナイトなんだけど。
「行こうか」
「うん」
ブレスレットをつけて貰い、自宅を後にした。