カマイユ~再会で彩る、初恋

「お前さ、いつまでそうやって殻を被って過ごすつもりなの?一生恋愛しないつもり?」
「……そのつもりだけど」
「馬鹿じゃねーの?マジで救いようがねーな」

分かってるよ。
どうしようもないくらい、馬鹿だってことも。

「もしもだよ?……その子が、白杜のことを好きだって言ったら受け止められんの?」
「へ?」
「俺らが三十五ってことはさ、その子だって歳とってるわけだし。七歳差だっけ?」
「……ん」
「だとすると、今二十八だろ?一番いい時じゃん。当時でも凄い美人だったんだろ?この間、同窓会で会って、周りの奴らがちょっかい出してたんじゃねーの?」
「………ん、そうだな」
「そんな盛ってる奴らがわんさかいんのに、お前よくそんなに暢気にしてられんな。俺だったらぜってぇ無理だわ」

別に暢気にしてるとか、平然としてるとかじゃない。
内心は動揺してるし、イラつきもする。

ただ、『恩師』としての不要なプライドみたいなもんが邪魔して、簡単に行動に移せない。

「彼氏がいたっておかしくないし、結婚して子供が生まれて幸せな家庭を築いても、お前そうやってしれっとした顔で次会えんの?」
「……」
「次の同窓会に来るとは限らないだろうけど、お前は参加しないと、だろ?そん時に、その教え子たちの誰かから、『結婚した』って聞かされるかもしれないんだぞ?それをお前、今までみたいに聞き流せんのかよ」
「………っ」

祥平には家庭のことも五十嵐のことも包み隠さず話して来た。
唯一、心を許せる友だから、心の拠り所みたいなものを作ってくれていることに感謝もしている。

「……たぶん、無理だろうな」
「ちゃんと分かってんじゃん」

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