カマイユ~再会で彩る、初恋
「たぶん、先生はあの場を回避するためのツールだったんだと思うの。体のいい対処の仕方というか」
「いやいや、それはないですよ。体のいい対処なら、最初から同級生の女の子に任せるし、ビジネスホテルとかに放り込んで、メモ残して帰ることもできたでしょ」
「……」
「そもそもその気が無かったら、連絡先を交換したりしませんよ」
「……そういうもの?」
「そういうものです!っていうか、絶対先輩からの連絡を待ってると思いますよ?」
佳歩ちゃんに言われると、何となくそんな気になって来る。
千奈にも同じことを言われたけれど、圧の差かな。
ちょっとだけ、勇気が湧いた気がする。
「例えばさ、休日の予定を連絡したとして、その後はどうしたらいいの?」
「は?……先輩、それ本気で言ってます?」
「……うん、結構本気だけど」
「本当に可愛すぎますっ!!」
「んっ…」
下着姿で抱き締められた。
「ちょっ……、変な目で見られるから……」
同じ訓練を受けた人や常務用の制服に着替えているCAが数人いる更衣室。
さすがに下着姿で抱き合うとか、変な噂が立ちかねない。
「ここじゃなんだから、カフェ行きましょ!」
「……うん」
私服に着替えて、佳歩ちゃんと職場を後にした。
空港内のカフェに立ち寄って話の続きをすることに。
佳歩ちゃんは『恩師』だとか、『先生』ということを完全に忘れていいと言う。
お互いにいい歳した大人なんだから、普通に約束して、待ち合わせて、デートすればいいと。
「他に何も要らないでしょ。別に食事したからって、結婚するわけでもないし」
「……そうだよね」
「そもそもお互い独身なんだから、寝たって何ら問題ないですよ?」