カマイユ~再会で彩る、初恋
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「変じゃないかな……?」

指先で前髪を横に流して整える。

佳歩ちゃんに背中を押して貰い、向こう一カ月の休日予定を矢吹先生に連絡を入れた。
すると、『二十六日の十八時半、品川駅イーストタワー前に』と返信が来た。

今日はその待ち合わせの日。
翌日が土曜日でお互いに休日ということもあって、仕事終わりの先生が車で迎えに来てくれるらしい。

七月下旬の蒸し暑い気温の中、先生が来るのを待っている。

約束の時間の五分前。
Yシャツ姿の先生が小走り気味にやって来た。

「ごめん、暑い中、待たせて」
「そんな急いで来なくても、まだ五分前ですよ?」
「あ、……ん。結構道が混んでたから」

近くのコインパーキングに駐車して来たらしく、先生と肩を並べてその場所へと向かう。

「腹減ってるか?」
「え?……そこそこ、……ですかね?」
「少し車走らせるけど、いい?」
「はい、大丈夫です」

予約してあるというレストランに向かうことになった。

会うまでは会話もどうしようかと悩んでいたのに、意外と普通に会話できている。
先生が話しやすい雰囲気を作ってくれているのかもしれないけれど、あんなにも緊張していたのが噓のようだ。

「今日はフライトあったの?」
「はい。……福岡便の往復がありました」
「へぇ~。一日のフライトってそれだけ?」
「いえ、別の便が入る時もありますし、国際線なら片道で終わります」
「国際線のフライトもあるんだ」
「……はい。一応、これでもチーフパーサーです」
「マジで?」
「はい。国内線、国際線の両方のチーフパーサーの資格を持ってますし、ファーストクラスの乗務資格も持ってますよ」
「へぇ~、結構優秀なんだな」

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