カマイユ~再会で彩る、初恋


同窓会の日から三週間が経過したある日。
漸く五十嵐から連絡が来た。

不規則な勤務体制だとは分かっていたが、早朝三時出勤の時もあれば、訓練日とフライトで連勤状態の過酷さ改めて知った。
合間の休憩時間があるにせよ、結構な拘束時間の勤務体制に体が心配になる。

「なぁ、白杜」
「……ん?」
「やっと普通にデートできるまでになったんだから、ちゃんと気持ち伝えるなり、態度で示して来いよ?」
「……」
「それと、指輪の件もしっかり話して来い」
「……ん」
「このチャンスを逃したら、次は無いぞ?」
「……分かってるよ」

五十嵐と食事をする約束の前夜。
ちょっとしたアドバイスでも貰おうと祥平のバーにお邪魔している。

祥平のお勧めのレストランを予約して貰って、準備万端。
とはいえ、デートらしいデートを何年もしていないから正直緊張もしている。

女っ気がない俺を心配して、過去に祥平が何度かセッティングしてくれたが、俺は全くその気が無かった。
生涯、恋愛は不要だと自分自身に言い聞かせていたのもある。

誰かを好きになるとか。
誰かの好意に応えたいだとか。
俺の中ではどうでもいいことだったから。

「口下手なんだから、言葉で説明できないと思ったら、態度で示せ、いいな?」
「……ん」
「それと、相手もいい大人なんだから、子供扱いすんなよ?」
「……分かってるって」
「職場で話すような言い方じゃなくて、ちゃんと女性として扱えよ?」
「しつけーよ」
「お前にはしつけーくらいが、ちょうどいいんだよ」

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