カマイユ~再会で彩る、初恋
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「デート、上手く行かなかったのか?」
五十嵐を送り届けた足で、祥平の店に立ち寄った。
「いや、結構いい雰囲気だったと思う」
「じゃあ、何で浮かない顔してんだよ」
三時間ほどのデート自体は思ってた以上に上手くいったはず。
手応えもあったと思えるほど、終始楽しく過ごせた。
「距離感って、どれくらいがいいのか、……分かんなくて」
「お前、マジでアホだな」
祥平は他の客のオーダーのカクテルを作りながら、呆れ顔をする。
「須田君、これ四番テーブルに」
「はい」
祥平はモスコミュールとジントニックを乗せたトレイをアルバイトの須田に手渡す。
「お前、枯れてないよな?」
「は?」
「いや、俺の記憶だと、もう五年以上女抱いてないと思って」
「……」
「三十五って言ったら、働き盛りで脂ものってるし、遊びも本気もちょうどいい年齢だろ」
「……何が言いたいんだよ」
「だからさ、頭であれこれ考えずに、本能のまま突っ走ったっていいんじゃねーの?お前みたいな奴は、特に」
「……けどさ、相手は二十八なんだよ?」
「だからいいんじゃね?……その子だって、お前を男として見てたら、態度で分かんだろ」
「そういうもん?」
「そーいうもん!」
祥平に背中を押して貰いたかったのかもしれない。
『好き』という感情論だけでなく、『矢吹 白杜』としての人間を肯定して貰いたかった。
教師としてではなく、一人の男として、彼女と向き合ってもいいのだと。
「っつーかさ、相手の子、明日休みだったんじゃねーの?」
「ん」
「バカだろっ。修行僧じゃねーんだから、そのままお持ち帰りすりゃあよかったじゃんっ!」
「……かもな」
「マジで救いようがねーな」
「デート、上手く行かなかったのか?」
五十嵐を送り届けた足で、祥平の店に立ち寄った。
「いや、結構いい雰囲気だったと思う」
「じゃあ、何で浮かない顔してんだよ」
三時間ほどのデート自体は思ってた以上に上手くいったはず。
手応えもあったと思えるほど、終始楽しく過ごせた。
「距離感って、どれくらいがいいのか、……分かんなくて」
「お前、マジでアホだな」
祥平は他の客のオーダーのカクテルを作りながら、呆れ顔をする。
「須田君、これ四番テーブルに」
「はい」
祥平はモスコミュールとジントニックを乗せたトレイをアルバイトの須田に手渡す。
「お前、枯れてないよな?」
「は?」
「いや、俺の記憶だと、もう五年以上女抱いてないと思って」
「……」
「三十五って言ったら、働き盛りで脂ものってるし、遊びも本気もちょうどいい年齢だろ」
「……何が言いたいんだよ」
「だからさ、頭であれこれ考えずに、本能のまま突っ走ったっていいんじゃねーの?お前みたいな奴は、特に」
「……けどさ、相手は二十八なんだよ?」
「だからいいんじゃね?……その子だって、お前を男として見てたら、態度で分かんだろ」
「そういうもん?」
「そーいうもん!」
祥平に背中を押して貰いたかったのかもしれない。
『好き』という感情論だけでなく、『矢吹 白杜』としての人間を肯定して貰いたかった。
教師としてではなく、一人の男として、彼女と向き合ってもいいのだと。
「っつーかさ、相手の子、明日休みだったんじゃねーの?」
「ん」
「バカだろっ。修行僧じゃねーんだから、そのままお持ち帰りすりゃあよかったじゃんっ!」
「……かもな」
「マジで救いようがねーな」