カマイユ~再会で彩る、初恋

財前機長は、このASJの経営者である財前家の一人息子で、戦略企画部の本部長も兼任していて、ゆくゆくはこの会社の社長になる人物。
何年か前にご結婚され、お子さんもいらっしゃると噂で聞く。

会社でのイメージは、恐ろしいほどに仕事人間というほど冷酷ぶりが目に付くけれど、彼が操縦桿を握る便は絶対の安心感がる。
離着陸時の振動が極端に少ない、神技とも言える操縦テクニックだからだ。
これまでも何回かクルーとして乗務したことがあるが、御曹司というお飾りな人物ではなく、実力でこの最大手航空会社の頂点に立っているのだろう。

ブリーフィングを行う部屋ではなく、スケジュール等を管理する事務所の一角に連れて行かれる。

何か書類に不備でもあったのだろうか?
チーフとして提出する書類は月に幾つかあるけれど、それのどれかが未提出だったのかも。

『鬼畜』と言われるほど、彼の言動は常軌を逸していることがあると聞いている。
ただそれを目の当たりにしたことがないから、イメージだけが先行しているけれど。

上下左右、どこから見てもイケメンなんだよね。
矢吹先生も極上のイケメンだけれど、この財前機長もイケメン度で言ったら群を抜いてると思う。

「悪いね、急に呼び止めて」
「いえ、構いません」

にこりとも微笑まない財前機長に呼ばれたとあって、事務所にいる他のスタッフが哀れむような視線を向けて来る。

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