カマイユ~再会で彩る、初恋


「それで?……先生を自宅に呼んだの?」
「まだ…」
「別に呼んだっていいんじゃない?この部屋、全然おかしくないよ?」

先生には急な会議が入ったと誤魔化して、自宅に千奈を呼んだ。
朔也さんが昨日から香港に出張らしく、『暇だよ~』とメールが来てたからだ。

「いい感じになってるんだろうなとは思ってたけど、いよいよって感じだね」
「いよいよ?」
「うん。お泊りも許可されて、自宅にも来たがってるんでしょ?」
「……ん」
「それにちゃんと茜のこと、『女性』として見てくれてるのが分かったんだから、何をごねることがあるの?」

可愛い教え子ではなく、『キス』や『エッチ』もしたくなるようなら、何ら問題はないという。
……そうなのかもしれないけれど。

「先生って、いつから茜のことが好きなんだろうね?」
「……好きって言われてないし、分からないよ」
「あれだけクールな先生が、こんだけ態度に示してるんだから、好きに決まってるじゃん!」
「……そう思う?」
「うん、思う!ってか、佑人が知ったらと思うとちょっと怖いかも」
「あっ……」

そうだ。
先生とそういう関係性になるということは、必然的に佑人とは距離を置かなければならない。

私の勝手な思いで、今のまま心地いい関係性を継続したいだなんて、口が裂けても言えない。

「まぁ、佑人のことは二の次でもさ、先生のことは後回しにせずにちゃんと向き合いな?せっかく先生が心を開いてくれてるんだから」
「……ん」

持つべきものは友だ。
こうやって、千奈や佳歩ちゃんとも心の内を話せる関係が本当に有難い。

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